「氷野」
「……なに」
「やっぱり今日、おもしろくなかっただろ」
「えっ…そんなことない」
てっきりつまらなかったのだろうと思ったのだが、すぐさま否定される。
「じゃあ何でそんな様子が変なんだ?」
「……っ、それ、は…」
俯いた氷野は頬を赤らめ、少し言いにくそうに口を開いた。
「間接、キス…」
「は?」
「さっき、その…私のチャーハン食べたの…間接キスに、なる…から、恥ずかしいなって」
ぎゅっと目を閉じ、顔を手で仰ぐ氷野。
そこまで言われて初めて気がついた。
確かに俺は氷野のチャーハンを貰った時、彼女が使っていた専用のスプーンでそのまま食べた気がすると。



