「まだ結構食べれんだよな。
だから氷野の分…」
「どうぞ」
いや、早いな。
それほど限界を超えていたのか。
すぐさまチャーハンを渡される。
だがその時、氷野の頬が少し赤みを帯びていたのは気のせいだろうか。
きっと暑くて赤くなっているのだろうと思い、チャーハンを口に運んだ。
とはいえ自分も満腹だったため、食べ終わる頃にはだいぶ限界が訪れていた。
「そろそろ出るか」
「……うん」
氷野は髪を束ねたまま、俺と一緒に外へ出る。
するとぬるい風が俺たちを吹き通り、ひどく心地悪かった。
「じゃあ帰るか、送ってく」
「……ありがとう」
おかしい、氷野の様子が。
気づけば彼女は黙り込み、ずっと俯いているのだ。



