「あ、いや…別に、腹いっぱいなのかなって」
本当は魅入っていたのだが、咄嗟に嘘をついた。
「……残すのはせっかく作ってくれた人に申し訳ないから」
「え……」
「結構たくさんあるんだね、お兄も連れて行ったら喜んでくれそう」
どうやら彼女の様子からして、すでにお腹はいっぱいらしい。
それはそうだ。
俺でも腹がいっぱいなのだから。
だが残すのは悪いと思い、頑張って食べているのか。
とはいえまだチャーハンは半分ほど残っているし、なかなか辛いかもしれない。
始めに量の多さを伝えていなかった俺の不手際だ。
「なあ氷野」
「……何?」
「これ、食べていいか?」
胃袋は絶対に氷野より大きい自信がある。



