「受け取らねぇって言ったら?」
「……いらない?」
「…っ、お前それわざとやってんのかよ」
少し俯き加減で落ち込んだような態度。
ぬいぐるみをぎゅっと握りしめ、差し出していた手を引っ込めた。
「ごめん」
少しきつく当たりすぎたのだろう、氷野は突然謝ってきて。
「あー、うん。わかったから」
「……高嶋?」
「それひとつ貸せ。俺も欲しくなってきた」
「…っ、本当…!?」
まるでわざとやっているかのような態度の急変の仕方だ。
だが本人は意識していないだろう。
本物の純粋で無自覚女か、一番タチの悪い。
「これ、絶対月曜からつけてくる」
「何言ってんだか。氷野ってそんなタイプじゃないだろ」
「そんな…?」
「かわいい物つけるタイプじゃねぇってこと」
さすがに好かれてばかりでは困ると思い、少し冷ための言葉を放ったのだが。



