「じゃあ片方は高嶋の分ね」
俺に片方のぬいぐるみを渡してきた。
まさか渡されるとは思っておらず、素直に戸惑ってしまう。
「なんでだよ、これはもう氷野のだろ?」
「ううん、ふたりでお揃い…じゃあダメ?
学校の鞄につけるの」
もしかして俺にもつけろと言いたいのだろうか。
そんなの無理に決まっている。
付き合ってもない女とお揃いのストラップをつけたとして誤解されないとでも?
「俺は別にいらねぇ」
「鞄につけなくてもいい、から…せめてお揃い」
「…………」
俺の目の前に差し出されるぬいぐるみを受け取るまで、どうやら折れてはくれなさそうだ。
「もしかしてお揃いにしてぇからふたつ頼んだのか?」
「……うん、そう」
まったく氷野は恐ろしい。
わかりやすく顔にでるかと思いきや、読めない時もあるのだから。



