まさか自分がこれほど未練がましいとは思わなかった。
それだけ好きだったということだろうか。
本当に女々しい男だ。
「高嶋くんもカラオケ行こうよ!」
放課後の教室で甘ったるい声が耳に障る。
俺の苗字を口にする女がわざとらしい笑みを浮かべて寄ってきたのだ。
千智はこんな風に媚を売ったりしない。
…って、また千智のことを考えてる俺はバカか。
いやバカだ。
良晴の言う通り俺はバカでしかない。
成績も下位の方だし、唯一運動ができるくらいが取り柄だろうか。
小・中学校でやっていたバスケはもう続けず、バイトに励んでいるのだが。



