……でも、違った。


いつもの様にドアがノックされる。


「おはようございます、桜田です。


体温を測りましょう!」


「はい、」


そこまではいつも通り。


「そうだ、柊さん!


屋上、行ったことあります?」


急に何を言い出すんだ、この人は。


「いえ、ないです、けど?」


「じゃあこの後、行ってみたらどうかしら!


この街が一望出来るんですよ!」


…だから、なんなんだ…。


「そうなんですね。


気が向いたら行ってみます」


嘘だ。


そんな気、全くないくせに。


桜田さんはあたしの顔を見て、少し悲しそうな顔
をして、また笑顔を作って出ていった。


…気の所為だったのだろうか。