看護士さん達はあたしの親は、子供思いのいい親だって思っているらしかった。
きっと世の中には愛を贈られない人も居るだろう。
そんな人達からしてみれば、あたしはなんて贅沢者なんだ、と思われるかもしれない。
上辺だけでも羨ましいなんて、思うかもしれない。
それでも、そう考えてしまったのだから、しょうがないと思う。
なんならその人と代わってもいいくらいには、周りの態度に苛つく。
あたしはもう、居なくなると分かっているはずなのに。
余命宣告だって、目の前でされたのに。
まぁ、このまま何もしなければ、だけど。
どうしてもう命の残されていない人間に、心配して人生の一部を費やすことが出来るのだろうか。
もしかしたらあなたの人生が崩れてしまうかもし
れないのに。
あたしを助けようとするくらいなら、他の患者さ
んを助けてあげればいいのに。
もう何年も、そう考えて生きてきた。
だけど、もうそれも、もうすぐ終わりだ。

