「ねえ、こんなじかんに、どうしてここにいるの?」 見とれていると声をかけられ、少し戸惑う。 発せられた声は、低めの聞きやすい心地よい声だった。 自分は本当に、この人と話しているのかと、不思議な感覚になる。 「あぁ、眠れなくて」 「そっかあ…」 「あなたは、どうしてここに?」 「ぼくはね、もどってきたんだ」 その言葉は、やけに重たく感じた。