「旦那さん、イクメンですね」
「家事をするのが好きみたいで、私より色々してくれるわ」
そんなことを話しながら掃除を二人は続ける。その時、遼河が「ん?このファイルは?」と棚を指差した。棚には黒いファイルが何冊か入っている。
「それは、訳あって診療所に来れない人たちのところへ行って診察した時の記録よ」
「へえ〜……。見ていいですか?」
「ええ」
遼河は一冊のファイルを手に取り、ペラペラとページをめくる。その時、「あれ、この人って……」と京にあるページを見せた。今から八年前のものだ。
「あら、懐かしいわね。私が心理学者になりたての頃のものだわ」
「この人ってもしかして、××劇団に所属していた岡夏輝(おかなつき)ですか?」
「ええ。不眠症で悩んでいたのよ」
岡夏輝は、××劇団の人気俳優だった。数々の舞台に立ち、ファンも多かったのだが京が診察をした数日後に自宅のマンションから飛び降りて亡くなった。自殺とされている。
「家事をするのが好きみたいで、私より色々してくれるわ」
そんなことを話しながら掃除を二人は続ける。その時、遼河が「ん?このファイルは?」と棚を指差した。棚には黒いファイルが何冊か入っている。
「それは、訳あって診療所に来れない人たちのところへ行って診察した時の記録よ」
「へえ〜……。見ていいですか?」
「ええ」
遼河は一冊のファイルを手に取り、ペラペラとページをめくる。その時、「あれ、この人って……」と京にあるページを見せた。今から八年前のものだ。
「あら、懐かしいわね。私が心理学者になりたての頃のものだわ」
「この人ってもしかして、××劇団に所属していた岡夏輝(おかなつき)ですか?」
「ええ。不眠症で悩んでいたのよ」
岡夏輝は、××劇団の人気俳優だった。数々の舞台に立ち、ファンも多かったのだが京が診察をした数日後に自宅のマンションから飛び降りて亡くなった。自殺とされている。


