「スプーンをうまく持てない人なんて、きっといますよ」

「あら、じゃあなぜ岡夏輝さんと弟さんがそっくりだと私が言った時、あなたは無表情になったのかしら?無表情になるのは照れているということを誤魔化している証拠よ」

「……ッ」

「あなたは明智遼河じゃない。行方不明になったフリをし、整形して名前を変えた岡冬人でしょう?そしてあの三人を殺害し、駿河雅彦さんに罪をなすり付けようとした」

「事件は全て、シャーロック・ホームズのトリックが使われているんですよ?」

まだ罪から逃れようとする遼河に、京は不敵に笑う。

「今回は、そのシャーロック・ホームズがヒントになったわ」

「どういうことですか?」

「駿河さんはシャーロック・ホームズのファン。そして、彼を尊敬している。もしも彼が犯人ならば完璧にトリックを再現するはず。いいえ、もしかしたらシャーロック・ホームズのトリックは使わない可能性の方が高いわ。なぜなら、大好きな作品に対する冒涜になってしまうのだから……」