「雪くん、ごめんね…でも、私の話も聞いて?」
「……」
そっと雪くんの手を離して、鞄から、今日丸付けした雪くんの解答用紙のプリント達を取り出す。
「これ…いつも朝と昼休みの時間で終わるんだけど……数学は答えだけじゃなくて答えまでの過程もチェックしてたから時間かかっちゃって」
分厚くなった回答用紙のプリントを見て、雪くんの表情がさっきの張り詰めていたものよりも、少し和らいだ。
「……は?これ、全部やってたのかよ…」
「放課後、本当はすぐに雪くんの所にきたかったけど、雪くんがせっかくこれだけ頑張ったんだから、私もそれに応えたくて……少しだけ学校に残って答え合わせしてたの……」
「バカじゃねーの、これに関しては明日じゃなくてもいいって昨日言ったろ!?」
「……」
雪くんは、最近本当によく頑張ってくれている。
私の用意した問題数じゃ全然足りないくらい。
こうして、私が来る前の予習だってしっかり頑張ってくれているし……。
「雪くんの頑張りは、私が支えたいし、私だって雪くんのために頑張りたいんだよ」
「……一花」
「それでも、遅くなっちゃって結局迷惑かけたことには変わりないよね」
「……」
「雪くんが怒るの、当たり前だと思う……今回はごめんなさい」
私は、雪くんに対して深く頭を下げた。



