「あ、あの、ごめんね。今日遅くなったのは…」


理由を話そうとしたとき。

それまでずっと背中を向けていた雪くんが、くるっと私に向き直る。


「どうせ、秋とよろしくしてたんだろ?」

「!!?」


よ…っ

よろしくしてたって何!?


「そうだよな、あんたは秋が好きなんだもんな。俺に教えに来るなんてついでだろ。秋といられてよかったなあ!!」


笑ってるけど、さっきまでのかわいい笑顔とは全然違う。

いつもの意地悪な笑顔でもない。

怒ってるんだ、私が遅くなって…怒ってるんだ。


「……っ」


そのとき、雪くんの机が目に入った。

机の上には、たくさん問題を解いた後のプリント達が山になって積まれていた。

自分で自己採点もしたんだろうか、赤や青の文字まで見える。


雪くん、私が来るまでこれ全部やって、待っててくれてたのかな……。


こんなに頑張ってる中、私が来るの遅くなったらそりゃ怒って当然だよね……。