私がそう言うと、顔を覆っていた手を離して、今度は顔の前で両手を合わせてきた。


「も~、一花ちゃんお願い!」

「ふふっ、わかりました」


かわいいな、秋くん。

まさかこんなにかわいい一面が見られる日が来るなんて、思ってもいなかったよ。

でも、忘れて欲しいって言ったのに、どうして今度はやっぱり忘れないで、なんだろう?


その理由を聞こうとしたとき。


「二人してそんなとこでなにしてんの」

「!!」


家の中から、秋くんのよりも少し高い声が聞こえて、二人でそちらを見る。


「雪くん!」

「遅いじゃん一花」

「え!? なんで雪、一花ちゃんのこと呼び捨てなんだよ」


秋くんの質問なんて無視して、つかつかと私に向かって真っ直ぐ歩いてくる雪くん。

そして、おもむろに私の手をぎゅっと握った。


「ひゃ!?」


風晴 一花。

本日初めて男の子と手を繋ぎました……。

って、そうじゃないでしょ私!!