……あの日、路地裏で血みどろになってケンカを楽しんでいたのは、秋くんじゃない。 私にブスと言ってきたのは、秋くんじゃない。 「……っ、」 この人だ…!! 息が、上手くできないでいる私を見た彼……雪くんは。 長い前髪の間から綺麗な栗色の瞳を覗かせ、口角を上げてこう言った。 「……どうも、弟です。」