「秋くんの弟さんなんですか?」
「2人そろってかっこいいんですね……!」
『秋くんの弟さん』
雪くんは、この言葉が嫌いだ。
「……」
そっと隣にいる雪くんを見ると。
「どうも、弟です」
「っ」
あの日と同じように、相変わらず長い前髪の間から綺麗な栗色の瞳を覗かせ、口角を上げてそう言った。
「や、やっぱり……!」
「きゃあ、かっこいい…!」
「え、なに?」
「秋くんの弟だって!」
『秋くんの弟』だと知って、周りにいた女の子たちも集まってくる。
雪くんが抱えてきたものとはまた違う内容ではあるのかも知れないけど
あんまり、いい思いはしていないんじゃないかな……
「雪くん…」
いたたまれなくなって、雪くんの袖をつかんだとき。



