「君も、もしかしてA組だったりする?」
「……」
少し腰を折って、私と同じ視線の高さにしてくれる。
でも、そのおかげで私はますます下を向いた。
メガネを持つ手が、震える。
「……っ」
ぎゅっと唇を噛み、こくんとうなずくと。
「そっか!」
「?」
そっと顔を上げると、そこには太陽のような笑顔の彼がいた。
「俺、月形 秋! よろしくな!!」
「……っ」
そんなの、知ってるよ。
ずっとずっと好きだったんだよ?
月形くんの名前くらい、知ってるよ……!!
「……風晴…一花……です」
月形くんの勢いに負け、私も初対面じゃないはずなのに、初対面のように名乗ってしまった。
私の名前を聞くと、月形くんは「じゃあ、また教室で!」と言って、また笑顔を向けてくれた。



