「…で、でも…私他にいい場所なんて知らない……」
外出する習慣がなかった私が、このあたりに落ち着いて話ができる場所なんて知ってるわけなくて。
雪くんの部屋や、公園くらいしか……
でも、公園はさすがにこのタイミングでいけるほど私の神経は太くない。
少し考えてもやっぱりわからなくて、雪くんにそう言うと。
「んー……」
青と緑のチェックのマフラーに半分顔を埋めたまま、雪くんは目を閉じて「どこがいいかなぁ」なんて場所を考えてくれているみたいだった。
「……あ、そうだ一花、来て」
「えっ!?」
少しして何かひらめいたのか、私の手を取る雪くん。
「どうしたの!?」
「いいから!」
「どこに行くの~!!」
「いいから来て!」
そう言って、目を細めながら子供みたいな笑顔で私の手を引っ張る。
イルミネーションでキラキラした風景が、次々と流れていった。



