「ん、聞こえなかった?」
「いや、聞こえました」
「かわいい」
「聞こえたってばっ!!」
恥ずかしくて、大きな声を出して雪くんの言葉を遮った。
どうしてこんな、人がたくさんいるようなところでそんなこと言うかな……!!
どんどん顔の熱が上がっていくのがわかって、きっと赤くなってしまっている頬を隠すように両手で覆った。
「なに? なに? 俺の為にオシャレしてきてくれたの? かわいいって言われたくて頑張ってきてくれたの?」
せっかく手で隠してたのに、その手首を雪くんによってつかまれる。
そっと私の顔をのぞき込んでくる雪くんは、嬉しそうに笑っていた。
そんな子供みたいな笑顔向けられたら、怒るに怒れないよ、ばか。
「……そ、そんなわけないでしょ……!」
「違うの?」
「………っ」
『本当はそうなんでしょ?』
いたずらっこ見たいな笑顔で、挑発するみたいな聞き方。
本当に雪くんはずるい。



