どうも、弟です。

― 一花side ―

「雪くん……!!」


いつの間にかすっかり暗くなって、雪が降ってきていた。

町はすっかりイルミネーションに切り替わっていて、約束していた駅前なんかは特に人が多かった。

人と人の間を必死に進み、やっと見つけたその人の名前を呼ぶ。


「一花」


こんな人混みの中でも、その人は一瞬で私を見つけて優しい笑顔を向けてくれた。


「ごめんなさい、まさかこんなに人がたくさんいるなんて思わなくて……」

「一花」


集合場所を指定したのは私。

クリスマスにろくに外出したことがない私は、まさか駅前がこんなに人で溢れかえるなんて思ってもいなかった。

なのに雪くんは、そんな私の言葉を無視して名前を呼んでくる。


「なあに、遅刻したことについてはこの通りです、本当にすみませんでした!」

「かわいい」


場所の指定よりも、遅れたことを指摘されると思って先に謝ったのに

聞こえてきたのは予想外の言葉で。


「………え……?」


声になったかどうかわからないくらいの小さな声を漏らす。