どうも、弟です。

― 秋side ―


「……はあ…」


あー…やばい、なんだか涙も出ない。

なんだろうこれ…虚無感?

心にぽっかり穴が開くって、こういうときに使うんだな……初めて知った。


なんでもそれなりにできて

いい人面してきた俺じゃなくて

本当の俺を受け止めてくれると思わせてくれた女の子。

俺を俺として認めてくれると信じさせてくれた女の子。


それは、君も同じ気持ちだったからだと知った。


ずるいよなあほんと……

あんなふうに芯の強い部分を見せられたら。


諦められそうだったのに、そんな部分にまた惹かれてしまう。

きっと俺は自分が思っている以上に弱くて、一人じゃ何もできない男なんだろう。


彼女はこれから、弟に会いに行く。

それを想像すると、最近やっと和らいできていたはずの胸の痛みがまたひどくなってきて。

苦しくて、叫びたいくらい切ないのに。


『いいお兄ちゃん』でいてきたせいで、もうすっかり我慢することには慣れてしまっていたんだとこんな時に自覚する。