「今なら俺フリーだよ? 一花ちゃん」

「なっ、何言ってるのよ秋くん!!」


せっかく拾ったのに、また生地を落とすところだった。

もう、意地悪もここまでくるとたちが悪いよ…


「ね、一花ちゃん」


面白がる秋くんを置いて先に廊下を歩いていると、また名前を呼ばれた。

しつこいなあっ、もうからかわないでよ秋くんの意地悪。


「もう、邪魔するなら手伝ってくれなくてもいいんだよ!?」


不機嫌なのを露骨に顔に出して振り返ると、秋くんが私の元へ走って追いついてきた。


「雪、文化祭来るって」

「……え」


雪くんが……学校に……!?


「ほ、ほんとう……?」

「ぶ、あははっ、マジで一花ちゃん分かりやすすぎるから!」


噴き出して笑うことかな!?

私の何がそんなに分かりやすいっていうのよ、もう。


「そんなに分かりやすいと、さすがに傷つくなあ…」

「……あ」