本当は、雪くんとミニカちゃんが仲よさそうに言い合っている姿をもう見たくなかっただけなのに。
ミニカちゃんがいるせいで私は帰りますって言ってるようなものじゃない。
ミニカちゃんのせいにするなんて、私どうかしてる。
こんな嫌な私のままだと、たとえ雪くんと二人で話ができたとしてもまたケンカになっちゃうよね。
今日は、もう大人しく帰ろう。
そう決めた私は、雪くんたちに背を向けて部屋を出ようとした。
「もういい」
「っ」
その時、雪くんの声がすぐ近くで聞こえたと思ったときには、ドアノブにかける手を後ろから優しく包まれた。
反対の手はしっかりと私の腰にまわされている。
「……っせ、雪くん……!?」
雪くんのまさかの行動に、目の前のドアとにらめっこしながら裏返る声で雪くんの名前を呼んだ。
なにこれ!?
これじゃあまるで、雪くんに後ろから抱きしめられているみたいじゃない……!!?
さっきまでの嫌な感情はどこへやら。
一気に体温が上昇していく。
私の背中からは、雪くんの速いリズムで刻まれる胸の音が伝わってきて。
緊張しているのは、雪くんも一緒なんだと気づいた。



