「雪のこと……気になる?」
「え?」
隣を見ると、心配そうな、苦しそうな表情で、秋くんが私を見つめていた。
「一花ちゃん、雪の話になるとすごく辛そうだから」
「…っそんな」
そんなことない
なんて、言えなかった。
だって、秋くんとどんなに一緒にいても、頭の中にはどうしても雪くんがいるんだもん。
ワガママで、生意気で、素直じゃなくて、ムカつくことの方が多いけど。
きっと秋くんと同じようにその性格には何か理由があって、何か…抱えているんじゃないかなって思えて仕方がない。
トゲトゲしているのに、そっと触れたら壊れてしまいそうなくらい脆い雰囲気が、放っておけないと思わせるには十分すぎるんだ。
私には、弟がいないから
勝手にお姉ちゃんになったような気分でいたのかもしれないんだけど……。
「雪と仲直りしに、家に来てみる?」
「………」
首を傾げて、柔らかな表情でそう聞いてくる秋くん。
私は、彼のそのどこまでも優しいところに甘えて、うなずいた。



