ゆっくり顔が近づいてきて、もう何度目かの凝視感。キスされると思ったときには唇が触れていた。そこから熱が伝わってきて、全身に火がついたように熱くなる。

いつもなら何度目かで離してくれるのに、今日はやけに激しい。応えるのにいっぱいいっぱいになっていると、強引に口内に舌が押し入ってきた。

「あ」

舌がねっとり絡み合う感覚。口を開けているのが、ものすごく恥ずかしい。顔を見られなくなり、ギュッと目を閉じながらもうどうにでもなれという思いで新さんに向かって手を伸ばす。

すると彼は慣れた手つきでシートベルトを外し、助手席側に身を乗り出してさらに密着してきた。伸ばした手を新さんの首元に回して、後ろ髪を触る。

私のとはちがうゴワゴワとした感触の毛。男の人の広い肩幅。なにもかもが私とはちがっていて、そのどれもに身体の奥が熱く疼く。

何度も繰り返される甘くて執拗なキスに、頭も心も身体までもが溶けてしまいそう。

「あ、らた、さん」

もうダメ。この熱に耐えられない。目の前が潤んで身体の奥はどんどん熱くなるばかり。これ以上密着していると求める気持ちが止まらなくなりそうだ。

「そんな目で見つめるなと言っただろ」