そして一緒に駐車場に戻って車に乗りこむ。

「これ、どうぞ」

シートベルトを締めたタイミングで、私は買ってきたぬいぐるみを新さんに差し出した。

「なんだ?」

「中見てください」

喜んでくれるだろうか。でもさっきはあれだけテンションが高かったし、きっと気に入るはずだ。

「ペンギンのぬいぐるみ、か」

「はい、さっきすごくうれしそうだったから好きなのかなと思って」

新さんはペンギンをじっと凝視し、しばし沈黙が続いた。

「その子すごくかわいいですよね」

しかし、新さんはなにも答えない。

あっけに取られているという表現方法が合っているだろうか、まさにそんな顔つきだ。

それを見てだんだん不安になってくる。私、もしかしてとんでもなく失礼な贈り物をしたんじゃ……。

よくよく考えてみたら、大の大人の男性がペンギンのぬいぐるみなんかで喜ぶはずがない。

まさか、引かれている?

「これを、俺のためにわざわざ?」

「はい、気に入らなければ私がもらいます」

「かわいすぎる」

ボソッと低い声で囁かれたひとことは、しっかりと私の耳に届いた。

「気に入ってもらえましたか」

「いや、そうじゃない」

え……?

「桃子がかわいすぎると言ったんだ」