夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜


「ダメじゃない、です」

気づくとそう口にしていた。すると安心したように海堂先生がホッと息を吐く。

「おやすみ」

耳元でわざとらしい艶のある声を出され、背筋がゾクッとした。慣れてるなと思いつつ体温が上昇していくのをひしひしと実感する私は、まんまと彼の策略にハマっている。

「おやすみなさい」

寝れるわけないけれど、目を閉じて海堂先生の気配を感じないよう別のことに意識を向ける。

「桃子の心臓、ドキドキしすぎ」

「うっ」

「こんなに意識してもらえるとはな」

「そんなんじゃありません」

図星だけれど素直になれないかわいげのない私。そんな私を見透かすように海堂先生がクスッと笑った。

それからしばらくして、背後から気持ちよさそうな寝息が。信じられない、この状況で寝れるなんて。けれど、それで一気に緊張がほぐれた。

今日は私も疲れた。一日よくがんばったよね。自分を褒めてあげたい。

ホッとすると眠気が襲ってきて、次第に意識が遠のいていった。