その言葉に胸の奥が激しく締めつけられた。

「覚悟はできている」

「言ってくれましたよね? 今後なにがあっても離さないって」

それなのに、どうして突き放そうとするの。

「それは、まぁ、そうだが。桃子が無理して俺といる必要はないと言いたいんだ」

「無理なんてしていません」

彼の腕を力いっぱい抱きしめ返す。後ろに立つ新さんの表情は見えない。

「だって、好きですから。新さんを」

「え?」

「最初は強引だなって思いました。でも、一緒にいるうちに惹かれてたんです」

「桃子が、俺を好き? 本当か?」

「はい、好きです」

何度も口にするのは恥ずかしかった。でも届け、私の気持ち全部。

「俺もおまえが好きだ」

耳元に聞こえる吐息交じりの声に背筋がゾクッとした。凄まじいほどの色気は、私だけでなく見るものすべてを魅了する。

ぶっきらぼうな優しさも、突拍子のない強引さも全部、あなただから好き。

「桃子はあいつを好きなんだと思っていた」

「あいつって、進ですか?」

「名前を呼ぶな」

あからさまにふてくされたような態度。仕返しと言わんばかりに腕の力が強まった。

「進はただの幼なじみです」