「結婚!?」
「先生、本当なんですか?」
反応したスタッフたちに取り囲まれた。肩を縮こまらせながら小さくなる私は、まさに針のむしろ。居心地が悪くて逃げだしたい衝動に駆られる。
「ああ、本当だ。また改めて報告するから、詳細はそのときに聞いてくれ」
爽やかに微笑を浮かべた新さんは、人が見ている前で私の手を取り歩きだす。
一度も振り返ることなく病院の正面玄関を出て、職員用の駐車場へ向かい車へ乗りこんだ。
「よかったんでしょうか?」
「なにがだ?」
「みんなの前であんな大胆な発言をしても」
「よかったもなにも、事実を言ったまでだ。噂が広まってくれたほうが後々楽だろ」
「ら、楽って。そんな楽観的な考えでいいんですか?」
考えなしに動いているように見えるけれど、ちゃんと考えているの?
「不満か?」
「いえ、そんな! ただ驚いただけです」
「なら問題はないはずだ」
なにも言い返せないでいると車がゆっくり発進した。念の為明日も休みをもらってはいるが、家事もたまっているだろうしゆっくりはしていられない。
「このままいきたいところがある。いいか?」
「はい、特になんの予定もないので大丈夫です」



