三日後。
ようやく痛みも落ち着き、あと二日ほど入院して問題がなければ、もう退院できるそうだ。
あの日以来ぼんやりすることが増えたのは言うまでもなく、頭の中に浮かんでは消えていく新さんの声。
『好きだ』
あの日、たしかにそう聞こえた。そうじゃなきゃプロポーズしたりしないとも言っていたよね。
それなのに次の日の朝、部屋にやってきた新さんはものすごく普通だった。まるで告白なんてなかったかのような毅然とした態度に、夢だったではないかと疑ったほど。
まさか、本当に夢だったりして……。
そうじゃなければいいのにと思う反面、疑う私もいる。なぜ?いつ私を好きになったの?だって、そんな素振りはひとつもなかった。
だからまだ半信半疑なのだけれど、たしかめようもない。頭を抱えていると部屋がノックされ清山さんが姿を見せた。
「雪名さん、どう?」
「お疲れさまです、ずいぶんよくなりました」
昼休みの時間を使い、入院してから初めて清山さんは私の元を訪れた。手にはランチバッグがしっかり握られている。
「すみません、わざわざ。それとご迷惑をおかけしてしまって」
「いいのよ、大丈夫。仕事は気にしないで」
「ありがとうございます」



