お酒の力も加わって、初音の脳内はユキの事でいっぱいいっぱいになっていく。
「今夜は帰るかい?」
遼の問いに初音はコクンと首を倒して「はい……」と一言答えた。
これ以上ここに居ても、一緒にいる彼に迷惑だ。
初音が席を立って財布を出すと、遼はその行動を制止して「ここはいいから。表まで送るよ」と自らも席を立つ。
初音はその厚意に甘えて、「すみません」と頭を下げる。
そして、遼に連れられてバーを後にした。
二人はホテルの敷地内を出て大通りまで歩く。
ほろ酔いの初音に合わせて、ゆっくりと……
遼が右手をあげると一台のタクシーが停車して、ドアが自動で開く。
「今夜はありがとうございました」
初音が丁寧にお辞儀して挨拶をすると、遼は「こちらこそ」と同じく丁寧に言葉を返してきた。
初音はいよいよタクシーに乗り込もうとする。



