キス時々恋心


「互いの紹介も済んだところで、今夜はどうして僕を選んだの?」
「えっと、それは……」
「ユキじゃなくて、一度約束をすっぽかした相手をどうして選んだの?僕に何か話があって呼んだんじゃない?」

やはり、遼には全てお見通しだった。
デートが目的ではない。

彼と純粋にデートを楽しみたくて依頼している女の子はきっと沢山いると思う。
彼自身もそんな女の子とデートをする方が何倍もいい仕事ができるに決まっている。

初音はなんだか申し訳無い気持ちでいっぱいになって、言葉が出なかった。

「ユキが僕とチェンジした仕事の後、初恋の人と再会したってえらくご機嫌でさ。
どんな人?って聞くと、年上で華やかなタイプじゃないけど、綺麗で真面目な人だって。それって、ハツの事だろ?」

遼の話に初音は「さぁ……どうでしょう」と首を傾げるにとどめた。

時期的にも自分の事だと思う。
しかし、自信を持って言えない自分がいる。

「絶対そうだね。ユキの指名タイプは若くて可愛い子か年下好きのマダムが多いから。ハツみたいな子は珍しいんだ」
「そうでしたか……」

初音が短く言葉を返して、二人の間に少しの沈黙が覆う。