封筒から取り出した札を1枚、2枚、とただ数えていく。

父親は、相変わらず、職も探さずにブラブラと街を歩いている。

母親は憔悴してしまって、見ていられない。

いつもの様に、春香からの金を机の上に置いた。いつもの額。
―いつもの様……なはずであったのに。

アルバイトをしてみた。
それでも、金は足りない。

火の車になった家計を、父親はかえりみない。

足りない。