何故だろうか。
―虚しい。空しい。

心の何処かで、寂しさを感じている。
それが何故なのか、分からないけれど。

西岡春香は、自室の机上の箱を開ける。
中には、見慣れた封筒があった。
件の―金を入れて渡す際に使っている。

金は、無限にあるわけではない。
いつまでも拘束していられる訳がない。

元々あれは、渡された生活費を少しだが切り詰めて用意しているものだ。

あの人はそんなことは、知らないだろう。
これを言うことは、しばらくはないだろう。