「いいえ……」

『西岡さんと……』
何でもなく、ない。

知っている。
嫌なほどに、目障りだと思うくらいに、知っている。

西岡春香。
谷川亮を好きな、女。

ストーカーじみたことをしていた。
気色が悪かった。

自分のことを、過大評価していた。
実家くらいにしか、価値の無い女のくせに。