「ねぇ、愛衣」

「なあに?」

「西岡春香って、知ってる?」

空気が変わった。
愛衣はペンを落とす。

「それって……あの、髪の毛、ハーフアップの?」

「うーん、そこまでは知らないけど」

愛衣は、「西岡……春香」と、何度もブツブツと繰り返している。

「西岡、さんと、何か、あったの?」