「ねーえ、由美」

愛衣が、つまらなそうにペンを回しながら、口を尖らせている。

「何よ」

「どうなったの?ホラ、高橋と」

「どうもこうも、なっていないわ」

ため息をつく。
高橋が、何処にいるのかは、分かっている。

彼には、恋人はいない。
恋人は。

確か、『西岡春香』という、遊び相手がいたはずだ。