『長岡……ねぇ。あぁ、長岡由美、だったかしら』

『そうそう。愛衣とかと仲がいいよ』


長岡由美。
鈴木愛衣。

この二人のことは、知っている。
特に、鈴木愛衣に対しては、殺意よりも強い恨みがある。

谷川亮―嘗ての春香の想い人―の、彼女だった、鈴木愛衣。

好きだった人に、望まれた女。
なのに、馬鹿なことばかりして、捨てられた女。

憐れだとか、そんなことは思わない。
それなら、絶対、自分の方が、不幸だから。


『どうしたの?何かあった?』

高橋は聞く。