「ねえ、楓ってさ、吉田のこと、好きだったの、知らなかったんだけど」

「嫌いじゃないわ。ハイスペックだもん。でも、本気で好きなわけでは無いよ」

「へぇ〜。長岡さん、かっわいそ〜」

「それに、楓が好きになったんじゃないんだよね。あっちが、勝手に好きになってんの」

恋敵。
そう言ってしまえばそうなのだが、少し違うかもしれない。

美久は、吉田のことが、心酔する程好き。
ある種の依存だ。

方や、古川は、吉田に好かれている。
だが、古川本人に、その気はない。

古川は、所謂、プレイガールに近いのかもしれない。
そこまではまだ、なっていなくても、男たらしなのは否定出来ない。

古川にとって、恋は暇つぶしのゲームみたいなものである。
そんなものに本気になる人間の気が知れない。

ただ、長岡美久のことは、単純に、好きじゃない。
だから、目障りなのだ。