カレンダーに、バツをつける。
出掛けようと約束していた日は、デートで潰された。

ごめん、と謝る友人に、「いいよ」としか、言えなかった。

俯く。

由美は、恋を知らない。子供の頃、漫画やお話で読んだのは、幻想だったのだと、今更になって、知った。

現実は辛い。そして、救いもない。

ケータイの、連絡帳を開く。
消せないアドレスがある。

中学時代、彼氏をつくったと、自慢する奴がいたので、「私と彼氏、どっちがいいのよ」と憤ったことがあった。
それでも、彼女は、「貴女なワケないでしょ」と言って、遮った。