「由美、ごめんね」

「ううん。彼氏とデートだっけ。行ってらっしゃい」

「まじでごめん、今度おごるねー!」

振り向いてはくれない。
ドアの影には、スラリとした少年が立っていた。

由美は溜息をつく。

いつもそうだ。
友人は、次々と恋人をつくって、女友達の由美を、かまってはくれない。
二の次、三の次でしかないのだから。

(仕方が無いわよね、こんなの)

下校時間を知らせるチャイムが鳴る。
あぁ、嫌だ。帰らなくてはならない。

夕日が赤赤と、美しい。だが、それを背に、独りで歩くのは、寂しい。