傷ができた。
ほんの少し、出血していた。

紅い血。
普段なら、考えもしなかった。
ぺろりと舌で舐める。

―あぁ、美味しい。

狂ってしまった。
それ位、好きだった。

今まで、クラスでも嫌われていた自分に、声をかけてくれた、優しい男だった。

それに、惹かれてしまった。

馬鹿だ。
男の優しさを求める女は多いのに。

二人の恋敵がいた。
どちらも、親友だった。

「あの人がそれで幸せなら、私はそれでいいの」

敗れた、もう一人の友人は笑った。

潔く、恋を諦めた。彼女は芯の強い人だった。
 

―でも、私は―