何が何だか、分からない。
分かっていたのかもしれない、理解をしたくなかっただけだったのかもしれない。

ただ、溢れる涙が、とまってくれなくて―

暗い部屋。証明も何もつけていない。
ベッドに寝転がった。枕に顔を伏せる。

やっと、涙はとまった。枯れた。疲れた。

痛かった。
怪我なんてしていない。
それでも痛かった。耐えられなかった。

机上には、鋏が置いてあった。
無心にそれを手に取り、左の手首に押し付ける。

―刺したら、痛いんだっけ。

刃先で、手首を弄る。
何も感じなかった。針で刺した。
普段なら、喚く位なのに、何も感じなかった。

リストカットに定番な、カッターナイフは、無かった。