「いたよ、だけど、フラれちゃった。浮気者なんだってさ、俺」

高橋囿也は、やれやれ、と戯ける。

そういえば、そんな奴だったわ、と春香は呆れた。
だが、その方が良いのかもしれない。

「んでさぁ、西岡さん。ひとつ、お話が」

「なによ」

「今夜、泊まる所がないんなら、泊まってきませんか?近いよ、うち」

「アンタの家?」

「父さん、義母さん、旅行でいない」

春香は笑った。