ガシャン、と金網にぶつかる音がした。

「あ、おっし。はずれ」

「いいわよ、初めっから、入れるつもり、なかったし」

春香は転がったボトルを拾うため、ベンチから立つ。

「ねーえ、西岡さん。何処も、行くとこ、無いの?」

「無いわ」

「友達は?」

「いない」

「彼氏は?」

「いる訳ないでしょ、そんなの。アンタはいるの?」