「沙也加ーー!来てくれたんだね」
「当たり前だって!大丈夫?舞」
七島の自転車から乱暴に飛び降りて沙也加は、私に抱きついてきた。
「お前、乱暴におきやがって傷ついただろがっ!誰のかわかっててやったのか?それは俺の自転車だっ」
七島は、急いで放り出された自転車を起こして怒鳴った。
「お前ら、そろいもそろって最低の女だなっ!」
「は?笑わせるじゃん。最低は、あんたの方でしようが!これに懲りてお殿様ごっこはやめにしな」
沙也加に言われて七島は大きく叫んだ。
「俺に口出しすんな!俺は卒業までやめねーかんな」
「…は?なんで言い切ってんのよ。もう、あんたの思い通りになる女なんかいないんだって」
腕組みして沙也加は七島を睨んでいる。
「……ほら、相手にしてないで。もう、いこうって沙也加」
喧嘩になりそうな雰囲気だったので、私は沙也加の腕を引っ張った。
「こんなバカ男には、一度ちゃんと言ってやらないと」
「いいよ、もう。放っとこーよ。こんなヤツにムキになる方が無駄だよ。帰ろ」
沙也加と私は、七島たちに背を向けて公園の出入口へ向かった。
「おいっ、お前!!!」
七島の声に驚いて振り返ろうとした私の背中へ手をやり沙也加は囁いた。
「無視しよ無視。ああ言う奴は、無視されるのが一番嫌いなんだから」
「そう?」
「うん、チヤホヤされてるやつには無視が一番効くよ」
振り向かない私に向かって七島の声が追いかけてきた。
「無視したなっ、きさまら!!
明日……絶対に覚えとけよっ!!!」
七島の遠吠えに
「明日だって。馬鹿だね。学校休みなのにイキっちゃってさ」
クスクス笑い出す沙也加。
ーーー沙也加ってば、肝が座ってる。
しかし……。
チラッと振り返ると、七島は自転車にまたがりこっちを見ていた。
ーーーげっ、見てる!こわっ。
沙也加の腕をとり、速足になって公園を後にした。


