「どうしたの。私もうお風呂入っちゃったんだけど」

『宏臣のことだ。俺、こういう方面疎いからなんて言ったらいいか判断つかなくて。でも電話じゃ埒が明かないと思って』

 一応代わるよ、と私の返事を待たずに潮崎くんは宏臣と通話を交代した。
 宏臣は多少酔っていたけれど、通話の相手が私だとわかるとメリークリスマスと陽気に声掛けする程度には普段通りだった。
 また代わった潮崎くんが短く笑った。

『ノリが一緒』


 簡単に身支度を終えたところに潮崎くんの車が到着した。
 車のなかでざっと説明してもらった。
 今から行くのは宏臣の新居で、本当は婚約者と過ごすはずだったのに相手の機嫌を損ねてしまい、宏臣は気晴らしに友人を誘ったのだそうだ。
 そうはいっても世間はクリスマスイブ。捕まったのは潮崎くんただひとりだった。

「それはなんていうか。お疲れさま」

「名取には宏臣から電話行かなかった? って、状況的に女子は誘えないか」

「待って。来てたわ。ばたばたしてて気づかなかった」

 スマホを見たら履歴が残っていた。岸さんと一緒だった時間だ。

「あいつなに考えてんだか」

「私は女子じゃないってことでしょ」