クリスマスイブはそれだけでは終わらなかった。
 お風呂から上がって、岸さんに一応今日のお礼のメッセージを送っておくかとスマホを取ったところで、着信があった。
 珍しい相手が連絡してきたなと思った。

「潮崎くん? 私の連絡先知ってたんだね。あっ、メリークリスマス!」

 高校からのいつもの仲間の一人だ。私との絡みは少なくて、男子グループと仲がいいからその繋がりで関係を保っているといったところ。
 親が医者で、一浪して医療系大学に進学した努力家だ。
 間があってから、潮崎くんの声が聞こえた。

『今、家にいる? こんな夜中に急で悪いんだけど、少し出てこられない? 車出すから』

 私にとっての潮崎くんは、ふざけている面々を巻き込まれない位置で笑って見ている印象だったので、その彼がこんな要求をしてくるのは驚きでしかなかった。