ユイト、と岸さんが割ってはいる。

「サンタさんは次の予定があるんだ。他の子のところにもプレゼントを届けないと」

「でも持ってないよ」

 確かに。
 ユイトくんにあげた包みの他にはなにも用意していなかった。
 袋のなかは空っぽだ。

「持ち歩いたらプレゼントに傷がつくかもしれないだろ。宅急便の業者だって、余所の家の分まで抱えてドアチャイムを押したりしない」

 岸さんは子供相手にも容赦なく理論武装する。

「そうなの?」

 ユイトくんに腕を引かれ、きゅるんとした黒目で見つめられ、私は……。

「……少しくらいなら」
 遊んでもいいと返事をしていた。