日曜日の午前十時、岸さんが私の家に迎えにきた。
 私はショートブーツを履いて玄関で待っていた。チャイムが鳴ると同時にドアを開けたので、岸さんに驚かれた。


「早いね」

「狭い家なので玄関まですぐなんです。便利ですよ」

 そんなことより、と岸さんは私の全身を眺める。

「かわいい格好してる」


 このまえ友達と集まったときに衝動買いしたスカートを私は穿いていた。
 左側に切り替えのついたプリーツのロングスカート。
 いいなあでも穿く機会ないしなあ、と売場でぐずついていたら、服を買ってから着る機会を作るのよ! と乗せられた代物だ。

 そうでしょかわいいスカートでしょ、とあくまでもかわいいのはスカートだと結論づけて別の話題に持っていく気まんまんでいたのに、
「そういうのも似合うね」
 なんて言われて調子が狂った。

 今日の移動手段はバイクではなく車だった。銀のセダンを運転する岸さんが新鮮で、ぼんやりしながら助手席で揺られた。